人手不足解決の秘訣①:退職率を低下させるには?
1.退職率は何を意味するか?
前回のコラムでは人手不足というものに視点を合わせてお話を致しました。
今後は、人の変わりにPepper等のロボットも一役かう時代がくると思いますが、コミュニケーションを必要とする接客業では、もう少し先のようです。
本日のコラムでは、人手不足を解消するための一番目の『退職率低下の対策』についてお話をしていきたと思います。
これは、前回のコラムで『人手不足解消』のための対策の一番目になります。
そもそも従業員さんはなんで退職をするのか?ということからお話をしていきたと思います。おおよそ次の2つの理由から退職をされます。
①生活環境の変化要因
これはまさに、『退職されてもしょうがない』というものです。
・高校卒業により、引っ越し又は就職による退職
・大学や専門学校の卒業や実習等のために退職
・フリーターが正社員として就職することによる退職
・主婦が、旦那さんの転勤による退職
・主婦が、正社員として再就職することによる退職・・・等
つまり、従業員さんの生活環境の変化によって、生じる退職となります。
これは、従業員さんに『生活環境を変えるな』と言っても解決しませんので、笑顔で送り出して上げることが必要となります。
②現在の仕事への不満要因
ここの視点を改善することが退職率低下に繋がるのです。例えば・・・
・時給が安いから他の高いところへ働き先を変更したい
・新しいことをやりたいから働き先を変更したい
・もっと楽しい職場に行きたい
・通勤が大変なので、もっと近くで働きたい
・仕事量についていけないので退職したい
・もっと評価される職場にいきたいので退職したい
・学業に専念したいから退職したい
・家庭の事情で〇〇の面倒を見なくてはいけないので退職したい
学業に専念したいや家庭の事情は生活環境の変化のように思えますが、私の経験ではほとんどの場合はそれ以外の職場に行く際の辞める言い訳のケースがほとんどです。
退職されて、よそですぐに働いているのを見るのはよくあることです。
退職率が高いということは、自店の店内体制が出来ていないことの典型的な現れだと思っています。つまり、『働き甲斐があり』『職場の仲間と仲良くできる』『楽しい』等を満たしていないということです。
では、次のような視点で考えて見たいと思います。
2.果たしてその問題は、入社前にわかっていなかったのか?
例えば、時給が他よりも低いという視点ですが、入社前にわかっていなかったのでしょうか?
当然、求人誌やポスター等で1社だけで応募することはまずありません。ほとんどの場合は、働きたいタイミングで募集を行っている他の企業と様々な要素で比較検討し、応募します。何にも考えずに、応募する方はまずいません。
つまり、入社の段階では、時給の視点はクリアしているのです。後で、時給という問題を取り上げるということの従業員さんの心理は次の2つのどちらかです。
- 思っていた仕事と違ったため、時給がわりに合わない
- シフトとの関連で思っていた給料より、月額が低い
つまり、仕事量が時給に見合っていないというギャップと月額の給料の問題となります。
これは、実は面接段階に問題があるのです。
働く職場が遠かったというのもこれも入社時点ではクリアできている問題となります。
ここで考えないといけないことは退職率を低下させる視点としては、実は2つのことが重要となるのです。
- 採用面接は、応募側の力量や適性を見るだけでなく、募集側の実態を正確に把握して頂くことが必要であること
- 店内体制を確立しなければ、時給の問題は一生つきまとう問題であること
つまり、採用面接の内容の見直しと店内体制の確立が非常に重要となるということです。
3.理想とされる採用面接と店内体制の構築方法は?
①理想とされる採用面接
私は、以前の職場で店長時代やSV時代では、採用面接を自身でも実際に行ってきま
した。その経験から採用面接はお互いのことを知る『お見合いの場』だと思っています。私は、店長時代は人がほとんどいないにも関わらず、募集を行った人の約3人に1人程度しか採用してませんでした。それは妥協をしても後が一緒だからです。
ここで言う妥協というのは、お互いの視点でお見合いが成立しなかったということです。その結果、採用した後は、従業員さんは生活的環境の変化要因以外での退職は0になりました。
どのように説明を行っていたかというと・・・
・採用面接ではない。お見合いであることを伝える
・自店の自己紹介
・自店の目指すべ目標、与えられている使命(直営店は特にあります)
・自店の仕事内容の実態(かなり大変で厳しいことは正確に伝えます)
・自店で働く従業員さんのメリット・デメリット
・応募者の自己PRと志望動機、必要な月額のヒアリング
・可能時間帯と勤務希望曜日、働ける期間
・(採用をする方向の場合は)応募者に期待すること
つまり、こちら側の思いや要望をしっかり伝えた上で、応募者の考えをヒアリング
し、マッチング出来る場合のみ採用をするとうことです。
人手不足の際はどうしても目の前の応募者に目がいってしまうことがあるのも良くわかります。その場合は、必ず店内体制でこのお店の虜にしてやろうぐらいの気構えでなければ、採用し、すぐの期間でやめてしまい、『せっかく教育したのに・・・』と言っても始まりません。当然教育にもコストが発生することですから、お見合いが大事だと思います。
- 店内体制はどのようなことをつくれば良いのか?
次のお店の『働き甲斐』や『職場環境』を満たすための店内体制についてです。
店内体制確立に必要な要素は次の要素が必要であると思っています。
・店長の従業員さんへの気遣い=最初は積極的に仲間に入れて上げる事
・明確な目標と達成の進捗管理=行為計画
・明確な仕事の基準と指示を達成する教育と進捗管理=作業割当
・従業員を動機づけ=率先垂範
・仕事への責任と権限の委譲=役割分担
・情報の共有化・経営への参画=ミーティング、朝礼、情報ノート等
・公平なる評価=評価制度、叱ると褒める
・職場環境を円滑にするイベントの開催
上記のような仕組みを構築することが重要となります。
この構築方法については今後のコラムの中で更に具体化させていきます。
要は、従業員さんが『働きがい』と『楽しさ』を感じる『店内環境』をつくり、従業員さんが『仕事ができる』ことを実感してもらう『戦力化』を図ることが重要なのです。
4.まとめ
本日は、従業員さんの退職率を低下させるための『採用面接』の見直しと『店内体制』の確立についてお話を致しました。特に『店内体制』の確立については、非常に重要であるため、今後のコラムでも詳細お話をしていきたいと思います。
『退職率が多いな』と思ったときは、今の従業員は『骨がない』といっても一生人手不足は解消しません。『人』の問題解決も時代の変化への対応が重要なのです。
是非、実践をされることをお勧め致します。
【販路企画の著書】
【販路企画のセミナー】
【経営に役立つ情報を無料発信:店舗経営塾】 いいねお願いします。