差別化戦略はどうすればいいのか?!
1.差別化とは何か?
前回のコラムで消費飽和時代に重要なことは『気づき』『差別化』『ブランディング』であることをお話致しました。今回はその中の『差別化』についてお話をしたいと思います。
中小企業様の販路拡大についてご相談に応じていると、『差別化』についてお話をすることが多々あります。特に行政機関からの依頼で専門家として派遣される際にはその傾向が強いと思います。
ほとんどのご相談が『売上が上がらない』『近くに大手の〇〇が出来て売上が下がってきている』というお話を頂くことが多いからです。
その際に、必ずお話をするのは、お客様があなたのお店に『いく理由は何か?』ということです。つまり理由がなければ、スケールメリットがあり、信頼性が高い大手に行くのは『当たり前』のことだと思います。
立地の重要性についてもお話をしましたが、当然、大手の方が、家賃が高い立地でも出店が可能であり、特に零細企業においては、立地面で大きく差別化することが困難であると言えます。
商圏において、競合となる店舗が全くない地域であれば、普通に店を開けているだけで、売上が上がるかもしれません。しかし、そのようなエリアはほぼ稀であり、必ず競争が発生しています。
その競合に勝つ戦略が『差別化戦略』となるのです。
しかし、『差別化戦略』というと他社と全く違うサービスや商品を提供しないと差別化できないと思われている方もいると多い状況ですが、果たしてそうなのでしょうか?
例えば、美容室があるとします。商圏内の競合の美容室は19時で閉店するとします。
そこが事業所立地であるとします。会社帰りに美容室によるのは困難でしょう。
しかし、営業時間を21時までにしていればどうでしょうか?
会社帰りに美容室に行きたいというニーズがあれば、その店舗は会社帰りのOLさんに向けた美容室サービスをメインに差別化しているということになります。
これは営業時間をただ2時間変えただけです。これでも会社帰りに美容室に行きたいOLさんからすれば、あなたのお店に行く動機となるのです。つまり差別化されているのです。
ここで重要なのは『商圏の中のお客様のニーズ』と『他社がそのニーズに対してどう対応しているのか?』という2点です。
重要なことは、この『お客様のニーズに対してどの部分で他社よりも優位性』を出すかではないかと思います。これが『差別化戦略』なのです。
2.差別化戦略を立てるには3つのポイントがある
ではどのようにしたら、差別化戦略が立案できるのでしょうか?
ここで重要なことが実は、『商圏調査=お客様を知る』『競合調査=敵を知る』『自店分析=己を知る』という3つであると思います。
商圏調査で一番重要なことは、人口等を調べるということではなく、お客様のターゲットとそのニーズや利用シーンを知ることであるということをコラムの中でお話をしてきました。
つまり、『商圏』を知らなければ、差別化戦略は立てることは店舗型では出来ないのです。
ですから、『商圏調査』が非常に重要なのです。
これは今までお話をしてきましたので、ここでは割愛致します。
次に、競合を知らなければ差別化戦略は絶対に立てることが出来ません。
よく、開店前のプレオープンに立ち会うことが多いですが、その前にセレモニー的なものを行うことが多いですが、その際に店舗の経営者の方から良く言われる挨拶です。
『当店は地域一番店を目指します』この宣言は非常に良いことなのですが、ここで疑問をもって頂きたいのです。
『何で地域一番店を目指すのか?』売上なのか?接客なのか?
『何をもって地域一番店であることが達成したと判断するのか?』
つまり、実務では競合の売上を予想できなければ、売上で一番になったともわかりませんし、
競合の接客レベルがわからなければ、一番になったこともわかりません。
競合調査がいかに重要であるかをご理解頂けると思います。
競合調査は主として競合の強みと弱みを調査します。
どんな大手でも強みもあれば弱みもあります。
次に自店を知るためには、自店分析を行わなければなりません。
自店の強み・弱みは何かを分析するのです。
ここで重要なことは、競合調査と同じ視点で自店を客観的にみることです。
この『自店の他社よりも強みになる部分』を『商圏内のお客様のニーズに向けて戦略をうつ』ことを私は『差別化戦略』であると思っています。
この3つの視点をマーケティングでは3C分析と呼んでいます。
3.競合調査で調査すべきことは4つの視点
競合調査で調査すべき視点は4つの視点です。
それは『商品』『価格』『販路』『販促』の視点です。
これをマーケティングの4Pと言われています。
それに加えて店舗型は『立地』が加わります。
この5つの視点のどこで差別化するかを決めるのです。
1つで差別化する場合もあれば、2つでする場合もあります。
ここで重要なことは競合を調査する場合には、商圏内の最低3社以上を調査して頂くことをお勧めしておりますが、その前段階の準備です。
一般的にはチェック表で調べるという話になりますが、現場での調査はそのようにはいきません。そこで重要なことは、事前に『商圏のターゲットとお客様のニーズから自店の強み・弱み』を抽出し、事前に『この部分で差別化できるのではないか?』と仮説を立てて、調査をすることです。
そうしなければ、非常に浅い『競合調査』となってしまい、競合の強み・弱みを把握することができません。あくまでも調査は裏付けをとるということが目的となります。
4.まとめ
今回は、差別化戦略についてお話を致しましたが、非常に重要な戦略であり、実はあまりこの視点を意識してマーケティング戦略を立てている企業様にお会いするケースは少ない状況です。フランチャイズ本部も成長を行うにはこの『差別化戦略』が非常に重要であります。
これから起業される方は一番大事な戦略となります。
是非、この年始の機会に再度、『商圏調査』『競合調査』『自店分析』を通して『差別化戦略』を検討されることをお勧め致します。
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