売上アップに必要な立地調査の最重要は『導線調査』
1.導線って何?
前回のコラムで、『商圏の特定の方法』についてお話をさせて頂きました。
今回は、商圏調査の手法の一つとして私は最重要と考える『導線調査』についてお話をしていきたいと思います。
『導線調査』とは『お客様が目的を達成するためにどのようなルートを使っているか』調査をすることです。
例えば、スーパーを出店したいとします。
お客様となり得る可能性がある方が、通勤で駅を活用しており、そのお客様の帰りに立ち寄ってもらいたいとします。
そうするとそのお客様がどのルートを使って自宅まで帰宅しているかを知り、そのルートに出店をすれば、立ち寄って頂ける可能性が高いという考え方です。
そのルートを知ることが簡単に言うと『導線調査』となります。
『導線調査』は非常に奥が深く、商圏調査で実は人口を調べたりすることより、一番重要なことであると私は思っています。当然、パソコンでデータをにらめっこしていてもこれはわかりません。あくまでも現場調査が重要となります。
今回は『導線調査がなぜ重要なのか?』ということと『交通発生源』についてお話をしたいと思います。
2.導線調査が一番重要と考える理由
導線調査は、非常に時間がかかり、コツや経験が必要になります。
しかし、一番重要な理由は次のデータを見て頂くと良くご理解頂けると思います。
外食先の情報源(複数回答可) n=5,000
日本政策金融公庫 外食に関する消費者意識と飲食店の実態調査2013年12月18日(n=5,000)
お店の前を通りかかって38.8%、看板表示を見て21.5%を足すとお店と看板の存在で60.3%
となっており、いかに立地と店舗の視認性が大事かわかると思います。
逆に言うと、どれだけ販促をうっても、立地が悪ければ効果は少ないということです。
更に考えると以下のことがわかると思います。
『お店の前を通りかかって』ということは『お店の前の道を通って』ということですから、お店の前をお客様が徒歩や車等で通らなければ、気づかれないということです。
つまり一番大事なことは、導線ということになります。
また、看板・表示も導線を考えた看板を設置しなければ意味がないということです。
これを経費に置き換えると更にわかると思いますが、上記の要因の中で一番コストがかかるのが家賃であり、立地が大事ということになります。またやり直しが効かないのも立地であるため、いかに重要かがご理解して頂けると思います。
そのためフランチャイズ本部チェーンでは導線調査を一番重要視しており、本部開発スタッフが充分に現地で調査を行うチェーンが多いのです。
しかし、個人起業であれば、充分に自分自身が確認する必要があります。
結論としては『導線調査』こそ、売上の約60%を決めるということになります。
これは商圏調査ソフトでは全くわかりません。商圏調査はあくまでも人口を表現するだけのものであり、現場調査が肝となる理由です。
3.交通発生源とは何か?
導線調査の重要性はご理解頂いたと思いますが、次は、実際にどのように調査するかということになります。そこで必要になる考え方が『交通発生源』という考え方です。
全ての人間の行動では、出発点と目的点があります。
先述のスーパーの事例では、出発点は駅であり、目的点は自宅ということになります。
その交通が発生する源が『交通発生源』というものです。
この『交通発生源』を特定することが『導線調査』で一番重要なこととなります。
交通発生源は自店が出店したいと考える物件に影響を与えるものです。
次の事例のものが交通発生源となりえるものです。
- 駅
- 住宅街
- 大型商業施設や百貨店
- 大型レジャー施設等
- 交差点
- オフィス街 等
つまり、そこには人がいて、人が何かの目的で行動する起点であり、目的点となり得るものです。その流れを調査することが導線調査というものになります。
この点点を結び付けて、どこの導線がよく利用されているのか?を調べるのです。
その導線が多いほど、主導線になりますし、主導線以外でも活用される、副導線があります。
当然立地は主導線の方が良いですが、家賃の問題も出てくるのが実情です。
逆に利益の点で副導線を選ぶことも戦略として成り立ちます。
4.まとめ
今回は、導線調査についてお話を致しました。フランチャイズチェーンに加盟される方は、本部がその重要性を非常に認識しているチェーンが多いため、あまり心配することがありませんが、個人起業家の方は、立地や導線を非常に軽んじておられる傾向が非常に強いと感じます。
現在相談に来られる方の多くが、商品や販促の相談は多いですが、立地という視点がありません。結果として閉店が後を絶えない原因となっており、これから起業される方は是非、充分に時間をかけて調査をされることを期待します。
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